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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所

「すごいだろう?」

その言葉に頷くことしかできない私は、ただただその光景に目を奪われていた。
沈みゆく太陽と共に水面を照らし真っ赤に染めていく。
その太陽が地平線に消える瞬間、一筋の光が地平線を走る。

「わぁ……」

感嘆な声しか出てこない。
それだけ心奪われる光景だった。

「この島って何もない。けど、ここでしか味わえないものもある。今の景色もその一つ。地平線に沈む夕日、その瞬間の奇跡……そしてそれが終われば暗闇が訪れて満点の星空……自然の神秘を次から次へと感じられる……」

夏樹さんを見上げれば一点を見つめていた。
その先を追えば金星が輝いていた。
その金星を眺めていると、夕日の光は跡形もなく消え、夏樹さんの言う通り満点の星空が広がった。
その星空を見ていると一粒の涙が落ちて行った。
泣いて迷惑をかけないように、何度もパチパチと瞬きをしても涙は溢れてくる。


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