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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断

「どうかしましたか?今日は朝から元気がありませんね」

黙り込む私に佐伯さんは心配そうに声をかけてくれる。
ちょっとした変化でも気が付いてくれるのは、私の事をちゃんと見ていてくれる証で、夏樹と同じでうれしい。

「もしかして、まだ疲れが取れてませんか?私が急に泊るようになって負担をかけてるではありませんか?そうだったら申し訳ない」

「いいえ。佐伯さんが謝るようなことではありませんから。それに佐伯さんが一緒で真和も楽しかったようで感謝しているんですよ。なので気にしないでください」

「そう言っていただけるのはうれしいですが……本当に顔色も悪いですよ。大丈夫ですか?」

心配そうに顔を覗き込んでくる佐伯さんは私の頬に手を伸ばしてくる。
私を見つめるその目は確かに和泉で、だけど和泉ではなく佐伯さんというひとりの私の知らない男性。
それは忘れてはならない事実。


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