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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断
「段々と暗くなってきましたね。あと少しで景色が変わりそうですよ」
何も話さなくなった私に、いつもと同じ声のトーンで話しかけてくれた。
佐伯さんの言葉に顔を上げて空を見上げてみれば、彼の言う通り景色が変わり始めていた。
これからが、この島の神秘。
夏樹と和泉と見た奇跡。
私が立ち上がると佐伯さんも立ち上がり、どちらからともいわずに手を繋いで水際まで移動した。
その手の温もりを感じながら、お互いに何も話さず移り行く景色を眺めていた。
夕日が沈むと視線を夜空に向ける。
さっきまで赤々としていた空は今はなく、星たちが輝いていた。
暗くなればなるほど、夜空は輝き明るく広がっていく。
その夜空を見上げながら、先ほどの話を続けた。
夏樹の事が好きだったのに、和泉と出会ってお互いに惹かれあったこと。
はじめの頃は夏樹に悪いと思ったこともあったけど、和泉と過ごす時間が幸せで夏樹を思いやることも出来ずに、傷つけてしまったこと。