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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断
「夏樹を傷つけてしまったとしても、和泉と終わりになんかでず、このまま和泉と幸せになれると思ってたんです。ですが、彼は私の前からいなくなってしまった。最後に、夏樹のおかげで和泉を追いかけて話すことはできました。船に乗っていた彼は私に言ったんです。来年の夏に会いに来るからと……その言葉を胸に刻み、今まで待ち続けたんです」
「今でも?」
「はい。今年こそは現れてくれると信じて5年待ちました。そんな時に佐伯さんが現れたんです」
「私?」
いきなり名前を出されて驚く佐伯さん。
どうして自分に繋がるのかと首を傾げた。
「はい。初めに佐伯さんを見たとき、和泉が来てくれたと思ったんです。それ程似ていたんですよ。身体が弱かった和泉は色白でヒョロッとしているので今の佐伯さんとは似ていませんが、顔がそっくりなんです。ですから家に泊まるように勧めたんです」
「そうなんですね。初対面の私を泊めてくれたのには、そんな理由があったんですね。」
私の言葉に納得したかのように何度も首を縦にふった。