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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所

「なぁ真緒ちゃん。何があった?どうしてあの時死のうとした?」

夏樹さんの言葉に、星空を見上げている視線をそのまま夏樹さんに向けたけど、夏樹さんは夜空を見上げたまま続けた。

「辛い事、悲しい事、色々あるし、死にたいって思う事があっても思うだけ。それなのに真緒ちゃんは行動に起こそうとした。それだけ追い詰められてたったことだよな……俺に何かできない?」

星空を見上げている夏樹さんが、どんな表情をしているか分からないけど、声音からして心配してくれているのは伝わった。

「……叔母さんから何も聞いてませんか?」

「うん、マリさんはペラペラと話す人じゃない。それに勝手に話されるのも聞かれるのも嫌だろう?」

やっと視線を向けてくれた夏樹さんは、穏やかな表情をしていた。
私にそんな表情をしてくれる人は今までいなくて……もし、こんな人が私の傍にいてくれたら死のうとは思わなかった。
辛い毎日でも頑張れた気がした……



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