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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断

「佐伯さんと一緒にいると、和泉を思い出すんです。一緒に過ごした時間は短くても濃かったひと夏の恋を……」

「それは辛いことを思い出させてしまいましたね。申し訳ありません。」

佐伯さんは申し訳なさそうに目じりを下げ謝ってくる。
だけど、そんな言葉を聞きたいんじゃない。
そんな事のために、話をしているわけじゃない。

「謝らないでください。これは私の勝手な想いですから。それで良いこともあったんですよ。花火大会は和泉と行く約束をしてたのに行けなかった。それが佐伯さんと行くことによって叶った気がしたんです。そこに真和も加わり、あのまま和泉がそばにいてくれたらこんな風に家族として花火を見られたのかもしれないと思うと、本当にうれしかった」

昨日の夜の事を思い出せばこみ上げてくるものがある。
佐伯さんに肩車をされてうれしそうにはしゃぐ真和。
その横を寄り添うように歩く私は、和泉とできなかったことをできたと思う。


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