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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断
『わかった。すぐに行くから待ってろ。もうどこにも行くなよ。そこから動くなよ!!』
少し怒鳴り気味に言葉を残して電話は切れた。
きっと怒られるんだろうな、下手をすれば殴られるかなと考えながら夏樹が来るのを待っていれば、30分もしないうちに夏樹は現れた。
その夏樹は、真っ直ぐに走ってきて何も言わずに私を抱きしめてくれた。
「よかった。お前が無事でよかった」
何度も何度も同じ言葉を口にしながら夏樹は静かに泣き、それにつられるように私も泣いた。
それから夏樹が住んでいるアパートに連れていかれ、私がいたネットカフェから遠くない場所で驚いた。
考えてみれば和泉と夏樹は同じ大学だから近くて当たり前。
今まで会わなかったのが不思議なぐらいだった。
「まさかこんな近くにいたとはな。灯台下暗しってやつだな」
「だね」
同じことを思っていた事に笑えば、夏樹も笑ってくれた。
「とりあえず風呂にはいれよ。話はそれからだ」
ネットカフェでの寝泊まりはシャワーのみだったから、湯船に浸かれるのは正直うれししくて甘えることにした。