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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断
「正直さ。マリさんから真緒が妊娠したって聞いて和泉に腹がたった。それと同時に家出したって聞いて心配した。お腹に子供がいるから変な気は起こさないにしても、ちゃんと食べて寝て暮らしてるかって心配だった。そこに和泉の影は微塵もない。ただただ真緒が無事なのかだけが気がかりで当てもなく探してたんだ。その時に思ったんだ。もう和泉なんて関係ないって。和泉の子供だろうと、真緒が生みたいと思うのなら力になりたいって」
「それって……」
「なぁ、真緒、俺がどうして今まで連絡しなかったか分かるか?そしてどうして今連絡したのか」
夏樹の言葉に首を横にふった。
電話でも同じような事を言っていた夏樹。
その意味を考えてもわからなかった。
「中絶は22週未満までって決められてるらしいんだ。その前に連れ戻しても真緒はまた出ていくって思った。だったら中絶ができなくなった後に呼び戻した方がいいんじゃないかって、心配だったけど我慢したんだ。声を聴けば無理やりにでも連れ戻したくなるから連絡もしなかった。だから、今日、電話に出てくれてほっとしてるんだ」