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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
「夏樹さん……」
「んっ?」
夏樹さんの手が優しく髪の毛を撫でる。
そのぬくもりにドキドキしながら、それでいて心安らぎ、きっと私の気持ちを理解してくれる、今までの大人とは違うんだと……今まで誰にも吐けなかった弱音を吐きたくなった。
叔母さんにも言えなかった事。
母と父の性格を知っている叔母さんは、深く話を聞かなくてもある程度のことは察していてくれたから詳しくは話していない。
「とりあえず、座ろうか?」
夏樹さんに手を引かれて流木の上に腰を下ろした。
夏樹さんはそのまま満点の星を見続けて、私が話すのを待ってくれた。
私は打ち寄せる波音を聞きながら重い口を開いた。
「私、出来損ないなんです。頭も良くない、美人でもないしかわいくもない。どんくさくていらない子……なんです」
「それは誰に言われたんだ?」
驚いたような顔をする夏樹さんに自嘲気味に笑う。
誰に言われたのか……そんなのは決まっている。