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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断
「誰もがさ。高校生で妊娠なんてありえない、中絶は当然だって言い張ってる中さ。ソンちゃんだけはケタケタと笑って言うんだ。またひとり孫が増えちまう。まだまだ引退なんてできないなって、ソンちゃんだけが真緒の妊娠に反対なんかしなかったよ」
夏樹の言葉に、ソンちゃんが腰に手を当て仁王立ちしている姿が浮かんだ。
ソンちゃんなら言いそうだと思うと、夏樹と同じで笑いがこみ上げる。
「笑うよな。ソンちゃんらしくて俺も笑った。そしてマリさんに言うんだ。帰ってきたら快く迎え入れるよ。それが反対なら出ておいき!ってね」
「ソンちゃん、そんな事言ったの?」
「ああ、あの店マリさんの店なのにな。それ聞いたマリさんは従うしかないよな。あのソンちゃんを怒らせたら怖いの分かってるから」
夏樹と話しているといろいろな不安が消えてなくなった。
きっと私の気持ちをほぐすために言ってくれているのはイヤでも伝わる。
あんなにも酷い形で裏切ったのに、夏樹は今でも一番の理解者だった。