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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断

「それからずっと、夏樹は私の側にいてくれた。叔母さんが亡くなってどうしようもない時、ひとりでも店を引き継ぐと決めたとき、手を差し伸べてくれたのは夏樹だった。――そう、手を差し伸べたのは和泉じゃなくて夏樹だった」

今までの事を思いだす。
和泉を心の中で待ち続けながら、私に寄り添ってくれたのは間違いなく夏樹だった。

「それでは、真緒さんの今があるのは、夏樹さんのおかげだと?」

「はい。夏樹のおかげです。他の誰でもない夏樹なんです。正直、佐伯さんに惹かれた部分もあります。佐伯さんが和泉だったらと何度も思いました。だけど佐伯さんは和泉じゃない。ましてや、私とともに歩んでくれたのは和泉じゃなくて夏樹だったんだってわかったんです――だから、佐伯さんとこの場所に来ました」

私の言葉に意味が分からない佐伯さんは困惑している。
だけど、今、ここで話をしたかった。
和泉と見た景色を見ながら確実な一歩を踏み出すために……


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