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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所

「両親と父方の祖父母です。いまだに出来損ないで財部(たからべ)の恥だと言われます。私が幼かった頃は母にも育て方が悪いとか、私の出来が悪いから母が浮気をして出来た子供じゃないかとか母は言われ続け、その反動から私への躾が厳しくなりました。学校から帰ると部屋に閉じ込められて夕食とお風呂以外は寝るまで勉強をさせられて、少しでも点数が悪いと頭ごなしに怒られる。放課後に友達とも遊べないから友達もいなくて常に教室では一人で仲間外れにされ、いじめはないけど私が見えていないかのように扱われて、先生は助けてくれるわけでもなく生徒と一緒で私を見ようともしなかった。だから学校にも家にも居場所がないんです」

話している間中、夏樹さんは背中をさすってくれていた。
その手のぬくもりが温かくて、一人ではないのだと私に勇気をくれる。
だからいつの間にか肩の力が抜けて、思っていたことが自然と言葉になっていた。



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