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ひと夏の恋……そして……
第16章 すれ違う気持ち
「いえ……もしかして、先ほどの事で変な誤解をさせてしまったんでしょうか?だったら申し訳ないことをしてしまいました。ただ前に進むための言葉が欲しいと言われただけなのに勝手に抱きしめてしまって……それにキスまでしてしまって。……明日にでも誤解を解きに行きましょうか?」
「それはやめてください。余計に誤解をさせてしまいますから」
これ以上、話をややこしくしたくなくて断った。
それに拒まなかった私の責任でもある。
「佐伯さんのせいではありません。それは私も願ったことですし、受け入れたのは私ですから。……最後に和泉に抱きしめられたような気がしてうれしかったんですよ。私たちの最後は触れることも抱き合うことも、ましてやキスをすることもできなかった。ただ声を張り上げ想いを伝えることしかできなかったんです。だから最後に抱きしめられて、やっと前に進めると思えたんです。――これからは私と夏樹の問題ですので気にしないでください」