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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

「あらあら真緒ちゃん。久しぶりね。お店の方はもういいの?」

民宿の裏口から顔をのぞかせれば、キッチン内で慌ただしく動き回っているおばさんとおじさんが出迎えてくれた。

「はい。今週に入って人も少なくなったから定時で閉められました。それより夏樹は?います?」

「夏樹?さっき家の方に戻ったから行ってみてちょうだい」

「はい。ありがとうございます」

ふたりにお礼を言って母屋に向かった。
おばあちゃんも数年前に亡くなり、今ではお昼に人がいることがない。
話すにはちょうどいいと思って玄関に手をかければ、玄関のドアは簡単に開き夏樹の靴が並べてあった

「夏樹?」

恐る恐る夏樹の名前を呼んでも返事はない。
一階に人のいる気配もないから自分の部屋にいると思い、いつものように勝手に上がった。
2階に上がれば夏樹の部屋のドアは開いていて、ベッドの上に横になっている夏樹がいた。
私が来たことも気がついていないのか、顔の上に腕を置いて微動だにしない。


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