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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

いきなり声をかけるのも気が引けるからコンコンとドアをノックすることにした。
音が響けば夏樹は腕を離して頭だけ上げて私の方に視線を向ける。
私を視野に入れた途端表情が変わったのがよく分かる。

「あのね。夏樹っ――」

「何しに来たんだよ。今更!!」

この前のような低い声で私の声を遮ってきた。
そして私をにらむ表情は怒りに満ちたままだった。
自覚はあったけど、こんな表情をさせるような事を私は夏樹にしてしまったんだと改めて感じた。

「夏樹、いろいろとごめんね。でも誤解だけは解きたくて」

「何が誤解だよ!!抱き合ってキスしといて!!今更言い訳するんじゃねぇ!!」

夏樹の怒鳴る声に、父に怒られていたことを思い出し委縮して何も言えなくなった。
黙り込む私にイライラする夏樹は、この空間が耐えられなくなったのか起き上がって出ていこうとした。
私の横をすり抜けていく瞬間、言葉よりも先に身体が動いて夏樹の腕を取っていた。


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