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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

「離せよ!」

ギロリと睨まれ一瞬言葉を失った。
だけど、このまま夏樹との関係を終わりにはしたくなかった。

「お願いだから話を聞いて!このまま夏樹との関係を終わらせたくないよ」

「関係を壊したのお前だ。今更何を言っても遅いんだよ!」

思いっきり腕を振り下ろされ、掴んでいた腕は簡単に解けてしまった。
夏樹は振り返りもしないで階段を下りていく。
その後ろ姿を追って縋るように腕を取った。

「お願いだから最後まで話を聞いてよ。誤解をされたまま終わりにしたくないよ!!」

「終わらせたのはお前だろう?俺がいない間に男連れ込んで……それも和泉に似た男をだ!俺が気が付かなければいいと思ったのか?俺に気が付かれなければ――あの時のように黙って付き合う気だったのかよ」

腕を取ったはずが、逆に腕を取られて壁際に追いやられていた。
それはいわゆる壁ドンで、あの時もこうやって悲しい表情をさせて問い詰められていた。


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