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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

「真緒さん!!真緒さん!!!」

夏樹の家に向かっていると、道路の方から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
声をした方に顔を向けると、1週間前に帰ったはずの佐伯さんが立っていた。

「佐伯さん?」

「今から真緒さんのところに行こうと思ってたんですよ。すれ違わずによかった」

道路から砂浜に降りた佐伯さんは私の元に走ってきた。
初めに会った時と同じようにスーツを着ている佐伯さんの姿に、仕事できたのが分かる。
だけど、今はそれどころじゃない。

「すいません。真和がいなくなって、きっと夏樹のところだと思うので」

挨拶もソコソコに佐伯さんの前を通り過ぎようとすると腕を取られて足を止めざる負えなくなった。

「ですから真和が――」

「落ちついてください。真和くんなら私と一緒ですから」

腕を解こうとしている手が止まった。
佐伯さんの顔を見れば、視線が道路に止まってる車に向けられていた。


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