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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

佐伯さんと一緒に車に行くと、助手席に乗った真和がいてほっとした。
ドアを開ければ自分が何をしたのか分かっているのか、うつむいたまま顔をあげなかった。
「なつ兄ちゃんのところに行こうとしたの?」
腰を落とし同じ目線になって告げれば、真和はコクリと頷いた。
「なつ兄ちゃん、仕事忙しいって言ったよね?それにひとりで外に出て、ママ心配したんだよ」
「ごめん……なさい。でもっ……僕、なつ兄ちゃんに会いたいの。約束したもん。一番に僕に会いに来てくれるって、なのに……なのに……わあぁぁぁぁぁぁぁ」
いつものように大きな声で泣き出してしまい、慌てて真和を抱きしめて立ち上がった。
しがみつくように抱きついてくる真和の背中を撫でていると、その横に寄り添ってくれる佐伯さんも、一緒に真和の背中をさすってあやしてくれる。
「すいません」
「いえ、何となく私にも責任がありそうなので」
何の事を言っているのかと首をかしげると、佐伯さんは申し訳なさそうに口を開いた。

