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ひと夏の恋……そして……
第18章 伝えたい想い…
「いろいろあるだろうが、今日は真和のためにそばにいてやんな。大人同士の話し合いはそれからだ。夏樹ちゃんもいいね」
有無を言わさぬ物言いで、ソンちゃんは夏樹の背中を押して店の中に入れた。
夏樹も最後は諦めたかのように真和を抱いたままカウンターに座った。
「なつ兄ちゃん!今日は川の字で寝られる?」
夏樹の胸から顔を出した真和はそんな事を聞き、私はどんな返事が戻ってくるのかドキドキして待った。
夏樹は一瞬、私の方に視線を移し、小さくため息をつく。
「真和が起きたらいないけどそれでもいいか?」
「いないの?」
少し寂しそうにする真和に、夏樹も辛そうな表情を見せる。
「なつ兄ちゃん、でかけてただろう?だから仕事が山のように溜まってるんだ。朝早くから仕事しなくちゃ終わらない。真和が寝るまで一緒にいてやるから――それでいいよな?」
それが夏樹の真和への譲歩。
真和がいるからこの家にいるのだと、言われている気がし寂しかった。