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ひと夏の恋……そして……
第18章 伝えたい想い…
「真和には本当に悪いことしたな。……俺の顔を見るなり泣き出してさ……なつ兄ちゃん、なつ兄ちゃんってそればかりを口にしながら泣くんだ。さすがに参ったよ。ソンちゃんの言う通り子供には罪はないんだよな。自分の事ばかりで真和の気持ちを考える余裕もなかった。もう少し違う離れ方があったのに、悲しませてしまったな……」
「夏樹のせいじゃないよ。私が軽率な行動をして夏樹に変な誤解をさせてしまったから……本当にごめん」
「別にもういいさ」
まさかの言葉に顔を上げると未だに優しいまなざしは真和に向けたままだった。
「もう……いいの?」
「ああ。真緒の気持ちは良く分かったから」
夏樹の穏やかの口調は久しぶりだった。
会えない時間が夏樹の心を静めてくれるにはちょうどよかったのかもしれない。
「真和が――」
「真和はさっ」
同じタイミングで真和の名前を口にする。
何?と聞き返せば、夏樹は少し考えた末に口を開いた。