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ひと夏の恋……そして……
第18章 伝えたい想い…
「違うと言うんだったらさ……なんで抱き合ってキスしてたんだ?あれを見せられて何もないって言われても信じられるわけないよな。それで俺の事が好きだって言われて、そうですかって思わないよな?」
夏樹の言うことは正直、正しい。
キスをして何もなかったと言われ簡単に信じるほうがおかしいとは思う。
思うけど、本当に気持ちはなかった。
あったのた……
「前に進みたかったから……だから、私が佐伯さんにお願いしたの」
カウンターに座ってから一度も私の顔を見ようとしない夏樹に、分かってもらえないかもしれないけど、思っていることを言葉にする。
色々な嘘をつけば誰かが傷つく。
正直に話したとしても、嘘を付いたとしても誰かが傷つく。
だったら、一番大切な人には正直でありたい。
傷つけてしまうかもしれないけど、夏樹には正直でありたかった。
「5年前ね、和泉と最後に交わした約束、覚えてる?」
「……来年も来るからだったな」
私の質問に即答する夏樹。
5年前の事なのに、お互いに忘れることのできなかった一日。