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ひと夏の恋……そして……
第18章 伝えたい想い…
「この手が私を辛い生活から救ってくれた。私と真和を助け見守ってくれた。それが分かった時、はっきりと進む道が見えたの。だから佐伯さんにお願いしたの。もう待たなくていいって……背中を押してほしいって」
「それだけで気持ちが前に向くのか?」
「うん。彼は和泉じゃないからね。顔が似ているだけじゃ気持ちは動かないよ。あの夏に、忘れてきた宿題が終わった……そんな感じかな?」
言葉にして、それが一番しっくりと心に響いた
来年また会おうと、目の前から姿を消した和泉。
その約束が果たせないまま、いままで過ごしてきた。
それがクリアーできれば思い残すことはない。
「私は夏樹が好き。夏樹とこれからも一緒に歩いていきたい。それが、私が出した答えだよ」
夏樹は何かを考えるように黙ってしまう。
ここまで言っても私の心が通じないというのなら、どうしていいのか分からない。
これ以上の言葉を持ち合わせていないし、伝え方が分からなかった。