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ひと夏の恋……そして……
第18章 伝えたい想い…
「これだけ言っても、まだ信じられない?どうしたら私の気持ち信じてくれる?――和泉の写真を全て捨てろって言うなら捨てるよ。あの絵だって捨てられる。私は過去より未来がいいの。真和と夏樹と三人で過ごす未来。私は夏樹と未来を歩くことができるのなら過去は捨てられる」
ここまで言っても何も言わない夏樹に、私は飾ってある絵を壁から取り外した。
私と和泉の数少ない思いでの品。
だけど、これがあることによって夏樹が苦しい思いをするのなら捨ててしまっても構わない。
額から外せば、和泉からもらった手紙がポロリと床に落ちた。
そして、絵の裏に書かれている和泉のサイン。
それをそっと手でなぞり、夏樹に見えないように裏返す。
「油絵だから簡単に燃えるのかな?」
今は燃やすことができないからと、私はカッターを手にした。
目の前できりきざめば私の気持ちは必ず伝わると、和泉の絵にカッターを入れた……