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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
あの日から、何の進展もなく日々は過ぎていた。
違うと言えば、週に1回ほど夏樹が真和と散歩にでかけることぐらい。
仕事が忙しいからと川の字になって寝ることはないけど、会いに来てくれることが重要のようで、真和が夏樹に会いたいと泣くこともなくなった。
私には冷たい態度を貫いたままで寂しさを感じるけど、真和には笑顔を見せつきあってくれるのだから、今はこれで良いと思うしかない。
一時期は真和とも会おうとはしなかった夏樹の譲歩。
わがままを言って、これ以上嫌われるのは避けたかった。

「することもないし、掃除でもしようかな?」

夏樹が真和を連れ出すと、いつも何をしようかと考える。
花火が終われば人足も遠のき閉店時間より先に店を閉めることも多くなる。
そうなると毎年のように時間が余り、今年は特にすることがない。
夏の間は忙しくて隅々まで掃除ができなかったから掃除をすることに決めた。
エアコンを切っての掃除は、涼しくなったと言っても暑かった。


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