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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って

「要件という要件はないんですが……真和くんの顔を見にきたんですよ。奥で遊んでいるんですか?」

近くにいない真和を探すようにカウンター裏の部屋を除く佐伯さん。
4日も一緒に過ごしたから、真和が普段どこで遊んでいるかも把握済みだった。

「すいません、真和は出かけていていないんですよ」

「ソンさんと?」

「あ~……今日は夏樹と」

「では、仲直りできたんですね」

その一言に俯く私。
その行動は佐伯さんに現状を伝えるには十分だった。

「……思った以上に夏樹さんの心に影を落としてしまったようですね。」

佐伯さんは肩をすぼめて考え込んでしまった。
あれは私が佐伯さんにお願いしたことで、抱きしめてくれたことも私が願って断らなかったこと。

「佐伯さんが気にすることはありませんよ。私とは話してはくれませんが、真和とは週に一度、散歩にでかけてくれるんです。真和もそれだけで満足してくれてるみたいで以前のように泣くこともなくなったんですよ」


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