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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「何笑ってるんですか!何であんな酷いこと私にするんですか。私は言いましたよね。佐伯さんを好きになることは決してないと。私が好きなのは夏樹なんだと何度も言いましたよね。それなのに何であんなことするんですか!」
本当はもっと声を荒げて怒りたかったけど、腕の中で泣きじゃくる真和を見ていれば声を荒げることはできなかった。
それでも私の怒りは佐伯さんに向く。
「これ以上、私に……私たちに関わらないでください。私と夏樹の関係を壊さないで」
「真緒……」
泣きながら訴える私に夏樹はびっくりしながらも、昔みたいな優しいまなざしを向けてくれた。
それは私が欲しかったまなざしで、夏樹と昔のように戻りたかった。
「夏樹……私が好きなのは夏樹なの。真和と一緒に傍にいてほしいのは夏樹だけ――佐伯さんの事なんて好きじゃない」
「真緒……」
夏樹は私の名前を呼ぶだけで返事をしてくれない。
まだ疑ってるのかと、伝わらない私の心に悲しくなる。
そんな私の心に、追い打ちをかけるような言葉を佐伯さんは投げつける。