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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「真緒さん。真和くんはソンさんに預けていいですか?その後、ゆっくりと過ごしましょう。夏樹さんの事なんか忘れるぐらいに愛をはぐくみましょう」
その言葉にゾッとした。
勝手な妄想に取りつかれているかのように一人完結し、私の言葉は何一つ届いていなかった。
「もう暗くなりましたね。夕食は外で食べてホテルにでも行きましょう。やっと真緒さんが手に入るんです。何も惜しみませんよ」
外に出れば、日は沈み暗くなっていた。
その中を佐伯さんは何も言わずに歩いていく。
後ろを振り向いても夏樹が追いかけてくることはない。
こんな事をされても追いかけてもくれないということは、佐伯さんの言う通り夏樹はそれほど私の事が好きじゃなかったのかもしれない。
ただずっと傍にいたから、好きだと錯覚して傍にいてくれたのかもしれない。
そんな悪いことばかりが頭をよぎっては消えていった……
その時だった。