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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「行くな!!そんな男について行くな!!」
後ろから夏樹の叫び声が聞こえ振り返れば、扉の前に立っている夏樹がいた。
暗闇の中、入り口を照ら光がスポットライトのように夏樹を照らす。
その中で、夏樹は尚も大きな声を上げて私に訴えかけてくる。
それは映画のワンシーンのように私の心を熱くする。
「俺は、お前が好きだ!他の男に取られるなんて絶対に嫌だ!!」
周りの目も気にせず夏樹が心の内を叫んでくれる。
その言葉がうれしくて涙があふれだす。
「夏樹……」
「真緒!!俺の傍にいてくれ!ずっと俺の傍にいてくれ!!俺は、お前だけを愛してるんだ!!!」
その言葉を聞いた瞬間、私は佐伯さんの腕を振り払って夏樹の元に走りだしていた。
夏樹も同じ瞬間に走り出し、私たちは抱き合った。
勢い余って砂浜に倒れこんだ私は、目の前にいる夏樹に心にもない言葉を言ってしまう。