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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に
外に出ると車の前でパパは煙草を吸っていて機嫌が悪いのは一目で分かった。

「パパ、ごめん――」

謝ろうとした瞬間、パパの手が私の頬を打った。
ママと違って強い力で手加減がなく、耳の奥がキーンと音が鳴る。

「私に面倒をかけさせるな!!佳苗もしっかりと教育しろ!!」

パパの一言にママの手が今まで以上に食い込んできた。
わなわなと震えるママの手に、また始まるんだと覚悟する。
おばあちゃんやパパに私の事で嫌味を言われた日から、ママの怒りの矛先は私に向きストレスの捌け口にされてきた。
それと同じ日々が始まった。
些細な事でママは怒り手をあげる。
そんなママを見てもパパもお兄ちゃんも知らない顔。
そして、時間の制限も前よりきびしくなった。
15時30分に学校が終われば16時30分までに帰らなければいけない。
バスに乗って帰ってもギリギリで、1秒でも遅れれば容赦はない。
夕食抜きは当たりまえ、夕食があったとしてもおにぎりだけの日もある。
部屋は外から鍵がかけられ、食事とトイレとお風呂以外は外には出してもらえない。
学校でも逃げ場所がない。
家ではもっとない。
もう、耐えられないと思った時だった。



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