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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「話してくれてありがとう」
言葉にすると、夏樹の身体が緊張するのが伝わってくる。
だから私は夏樹の腕の中から抜け出して、真正面から夏樹を見つめ手を取った。
「夏樹は情けなくなんかないよ。夏樹は私の心を一番に分かってる人。あの夏、どんなに辛くて悲しかったか知ってるから悩んでくれてたんでしょ? それだけ夏樹に大切にされてるって、そう感じたよ」
「真緒……」
夏樹の瞳が揺れる。
「今日は夏樹の心内を聞けてよかったと思ってる。夏樹はいつも前向きで私の背中を押してくれてた。それが当たり前だと思ってたけど違うんだよね。夏樹だって迷うし不安にだってなる。――私ね、そういう夏樹が好きだよ。完璧な人間より、迷って悩んで弱音を吐いてくれる夏樹が好き」
そう言葉にして、私の方から唇を寄せた。
一度唇を離して目線を合わせれば、また自然と唇は重なり、お互いを求めてしまう。
私と夏樹以外いない空間で、誰に遠慮することもなく激しいキスは続く。