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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って

「やだっ、もっと」

絡まる舌を解かれた時、寂しくて夏樹の唇を甘噛みしながら甘えた。

「今日は大胆だな?」

「だって、久しぶりだもん。もっと夏樹を感じたいよ」

そう言って私の方から舌を絡ませ激しく求めた。
求めれば求めるだけ激しくなる。
激しくなれば欲情する。
欲情すれば夏樹が欲しくなる。
だけど、この場所で夏樹と愛し合うことはできない。
それは私も夏樹も良く分かっていた。

「当分はお預けだな」

夏樹が目尻を下げながら残念そうに言葉にする。

「隣の部屋に、行く?」

このまま離れるのが嫌で提案すれば、夏樹は触れるだけのキスをしてくれた。

「そうしたいんだけどな。これじゃあ、いつ起きて泣き出すか分からないから離れないほうがいいだろう」

何の事を言っているのかと思っていると、夏樹の視線が下に向いた。
その視線を追ってみれば、いつの間にか真和の手が夏樹の服を握りしめていた。
私たちが身体を起こしたときは握っていなかったから、私たちがキスをしている間に握りしめていたことになる。


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