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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「寂しい思いをさせたからな。無意識に俺をさがしてるんだろう……もう、どこにも行かないって分からせてやらないとな」
そう言って真和の頭を撫でながらほほ笑む夏樹は、どこからみても父親だった。
今までも何度も思ったことはあったけど、父親らしい柔らかな表情をしていた。
「そうだね。ずっと一緒だよって分かってくれるといいね」
「ああ。毎日泊まりに来るよ。仕事があるから昼は家に戻るけど……それ以外はずっとここにいていいか?」
「もちろんだよ。朝も夜も一緒にごはん食べ――」
「声が大きい!」
思いもよらない夏樹の提案にうれしくて大きな声を上げると夏樹に叱られ、慌てて口を両手で抑えた。
真和を見れば一瞬身体をびくつかせただけで起きる気配はない。
「ごめん。うれしくてつい……」
「いいさ。俺も一緒にいる時間が増えてうれしいんだから――それより真和が落ち着いたらさ、ソンちゃんに真和を預けて1泊で旅行にでもいかないか?」
「旅行?」