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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
「そう簡単にくたばるソンちゃんじゃないよ。真緒と夏樹ちゃんの子供を見るまでは死ねないよ。それにね。真和だって大人になって結婚して子供産んで……楽し事が待ってるんだ。生きている楽しみが増えるんだ。まだまだ死ねないよ」
いつもの豪快な笑いにホッとする。
ソンちゃんの言う通り楽しいことは山積みで、未来が楽しみでしかない。
「でも、真和が結婚して子供産んでって遠い未来だよね」
「そんな事はないさ。人生なんてあっという間さ。悩んで苦しんで楽しんで笑って、そんな事やっているうちにいつの間にかその時は来るんだよ。真緒だってそうだろう?真和を産んであっと言う間だったんじゃないかい?」
ソンちゃんの言葉に思い返してみれば、この5年間はあっという間だった。
子育てとお店の切り盛りに息つく暇もなく突っ走ってきたのは確かだった。
「言われてみればそうかも。この5年あっと言う間だった。和泉の事を嘆く暇もなく忙しかったかも」