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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
初めは和泉がいなくなって泣いた。
それも子供がいると分かれば、その子を産みたいと切に願い家出をした。
そこからは自分の事、真和の事で精一杯で和泉の事を思い出すことも減った。
思い出すのは夏が来てから……来ないと分かっていても待っている私がいた。
それも昔の事。
待つこともなければ、会いたいと思うこともない。

「それにしても佐伯さん、いったい何を考えてるんだろうねぇ」

話も一段落し、店を開けてお客が来るのを待っていると、カウンターに座っているソンちゃんがそんな事を口にした。

「どういうこと?」

「真緒と夏樹ちゃんをくっつけるために芝居をしてくれたんだろう?そのせいで殴られたって言うじゃないか。そこまでする義理はあるのかと思ってね」

「そのこと?きっと私と夏樹の間が拗れたのが自分のせいだと思ったんじゃないかな?だから芝居をして夏樹の本心を引き出してくれた……やりすぎだって部分はあったとは思うけど……」


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