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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
「何やってんだ!!」
カランとドアベルが鳴り、機嫌の悪い夏樹の声が店内に響いた。
そのまま私たちの傍に来た夏樹は、私と佐伯さんの握手を乱暴に離し私を背中に隠した。
「まだ真緒に何かする気か!」
昨日の事もあってか、夏樹は佐伯さんに対して敵対心を隠そうとはしない。
そして、私を守ろうとする背中が大きくて頼もしかった。
「これ以上、真緒に付きまとうのなら俺も容赦はしない」
はっきりと気持ちが固まれば夏樹の態度に迷いはない。
こんなにもはっきりと佐伯さんに向かってくれることがうれしかった。
だけど、今の夏樹は誤解をしているわけだから説明する必要があった。
「違うよ、夏樹!佐伯さんは昨日の事を謝りに来てくれたの」
私の言葉に、佐伯さんは立ち上がって夏樹にも頭を下げてくれた。
「昨日は本当にすまなかった。許してくれとは言わらないが、どうしても謝っておきたかった……本当に申し訳ない」
深々と頭を下げる佐伯さんに夏樹の方が困惑する。