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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
夏樹は頭を掻きながら空いている席に座った。
その横に佐伯さんも座り、私はカウンター内に入って夏樹のお茶を用意する事にした。
「でも、お二人が仲直りしてくれてホッとしています」
佐伯さんが本当にホッとしたように言葉にする。
「ですから、あれは佐伯さんの責任ではありません。元はと言えば私が悪かったんですから」
「いえいえ。調子に乗った私が悪かったんですよ。昨日も調子に乗って失礼な事をしたと思っています。夏樹さんにも不愉快な思いをさせてしまって申し訳ない」
もう一度、頭を下げる佐伯さんに夏樹がうんざりしたように口にする。
「だからやめろって。そう謝られても俺が困る……元はといえば俺が優柔不断で決断できなかったことが原因でもあるんだ」
3人が3人とも自分が悪いと頭を下げ収拾がつかなくなる。
まだまだ続くものだと思っていたことも、佐伯さんの一言で雰囲気ががらりと変わった。