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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
「佐伯さん!!夏樹で遊ばないでください!!」
「ばれてましたか?」
私が声を上げれば、いたずらが見つかった子供みたいに舌をペロリと出した。
「そりゃあ分かりますよ。佐伯さんは楽しそうに夏樹に挑発的な言葉吐いてますから。夏樹も佐伯さんの挑発に乗らないで!佐伯さんの言葉をいちいち間に受けないで」
夏樹に声をかければ面食らったように両目を見開いていた。
そして夏樹の素っ頓狂な声が店内にこだまする。
「俺をおちょくるのはいい加減にしてくれ!!」
その言葉に笑わないわけがない。
私と佐伯さんが笑っていると、最後には夏樹までもが笑い出した。
その笑い声が昔を思い出させる。
私と夏樹と和泉。
先ほど懐かしさを感じたのはこれだった。
恋心を知らずに笑ってじゃれあっていた三人のあのひと夏の日々――