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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に
冬休みに入る直前、ママに怒られる覚悟で寄り道をした。
学校の近くで唯一残っている電話BOXに入って夏樹さんにもらった番号にかけた。
1回……2回……とコールが鳴り、5回目で夏樹さんは出てくれた。

『もしもし……』

公衆電話だからか警戒しているのが分かった。

『もしもし??』

「あ、あのっ、真緒です」

『ああ、真緒ちゃんか。元気?』

いつもと変わらない声にホッとして涙が溢れてきた。

『真緒ちゃん?どうかした??何かあった??』

私のすすり泣く声に慌てる夏樹さんに、やっとのことで一言だけ搾り出した。

「助け……て……」

『えっ??真緒ちゃん?』

こんなことを言われて迷惑なのは分かっている。
夏樹さんの優しさに甘えて困らせると分かっていても、私の心は限界で助けて欲しかった。

「もう、無理。私が死ぬかママを殺すかしないと……終わらない……」

受話器を持つ手に力が入り、搾り出すように言葉を出し、私の言葉に驚いたのか一瞬沈黙が生まれた。



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