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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に

『そっか、分かった。直ぐには行けないけど少し待てる?それまで我慢できる?』

沈黙の後には落ち着いた夏樹さんの言葉が耳に届いた。

「いつまで待てばいいですか……いつまで……」

『早くて明日、遅くても明後日には行くから……それまで我慢できる?』

縋る気持ちで聞けば、そんな答えが返ってきた。
明日か明後日にはこの苦しみから解放される、そう思うと1日2日は頑張れると思った。

「うん、大丈夫……」

『よかった。すぐに行けなくてごめんな……でも必ず行くから』

その言葉を聞いて安心した私は電話を切って家に帰った。
帰り着いたのは約束時間より5分過ぎた後だった。

「人との約束も守れないなんて本当に出来損ないなんだから!!あなたがちゃんとしてくれないと私があの人から馬鹿にされるの。それがどうして分からないの!!本当に頭が悪いんだから、それとも何?私が叱られるのが楽しい?」

「そんなんじゃ……」

「だったら何なのよ!!」

長い夜が始まると思ってあきらめた。
明日か明後日には私は救われると信じて……



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