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ひと夏の恋……そして……
第21章 流れる時の中で
「そっ、それは癖ですか?」
「ん?」
「あっ、いえ……佐伯さんも良く手を伸ばして頬に触れてきてたので」
思い出すのは佐伯さんの行動。
何かにつけては手を伸ばしては頬に触る。
優しい眼差しに優しい手つきはここにはいない佐伯さんを思い出させるには十分だった。
「言われてみれば……そうかもしれんな。こんな俺に触られて嫌だったろう、すまんな」
「いえ、こういうことをしそうにもなかったので驚いただけです」
思ってもない行動をされるとドキドキして変に身構える。
それを胡麻化すには笑うしかなかった。
「そういう所が気に入ったんだろうな。千春は……」
「金平さん??」
「いや独り言だ。それよりどうしてここに来たかって話だったな」
金平さんの言葉に最初に話をしていたことを思い出し、話が一転二転して忘れていた。