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ひと夏の恋……そして……
第21章 流れる時の中で

「ここに来た理由は冬の島と言うものを知りたかったからだ。俺たちが目指してるのは夏だけ賑わう島じゃない。年中人が集まる島だ。だったら集客率の少ない冬を知るしかない。あいつがいない今、俺がやるしかないんだよ」

そう言って波打ち際まで歩いて行った金平さんは海の水に手を入れた。
突き刺さるような冷たい海水に顔をしかめる金平さんは、つめてぇ~と子供の様に笑い、そんな表情もできるんだと驚くばかりだった。

「冬の海は冷たいでしょう?冷たい風も吹き付けるし好き好んで来たいとは誰も思ないんですよね」

「そうか?俺は意外と好きだぞ。冷たい空気は気持ちが引き締まる。それに空気が澄んでいて身体に取り入れたいぐらいだ。冷たい海の水にしたってそうだ。冷たいから避けたがるが身体を温めようと体内から熱をつくりあげている」

そう言って、先ほどまで海水につけていた手を見つめながら、真剣な表情をしていた。


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