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ひと夏の恋……そして……
第21章 流れる時の中で
「「「いただきます」」」
三人一緒に手を合わせて食事が始まった。
ハンバーグに箸を入れて口に運べば、ソンちゃんのハンバーグと遜色ない味だった。
「ソンちゃんの味……私が作っても同じ味にならないのに何でよ」
ついつい口から出てしまう本音。
どんなに頑張ってもソンちゃんと同じ味が出せないのに、真和は簡単にソンちゃんと同じ味を出す。
自分の息子に嫉妬しても意味がないのに、嫉妬して不貞腐れてしまう。
「そうか?真緒のハンバーグだって同じ味がするぞ?」
「嘘だぁ~。自分で食べても味違うよ」
不満気に声を上げれば、夏樹の腕が伸びて頬を撫でてくれる。
こんな時がうれしくて、今まで悪態ついていたのが嘘のように消えた。
「人から作ってもらってるからおいしいと思えるんじゃないのか?俺は真緒のハンバーグもソンちゃんのハンバーグも真和のハンバーグも同じ味だぞ?真和はどうだ?」
「同じ味だよ。僕の大好きな味!!」
子供がお世辞を言えるわけもないから真和の言葉は本当なんだろう。