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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い
「んっ……真緒みたら甘えたくなった」
ポツリとつぶやく甘えた言葉にキュンとする。
いつも私が頼ってばかりだから、たまに甘えてくれるとうれしい。
「何?仕事で嫌な事でもあった?」
いつも私がしてもらっているように夏樹の頭を撫でていると、背中に腕が回りギュっと抱きしめられ驚いた。
「夏樹っ?ソンちゃんも見てるからっ」
「そうだな。イチャイチャはふたりっきりになってからだな」
私の言葉に顔を上げてニヤリと笑った夏樹は、もういつもの夏樹。
その夏樹は私の手を引いてソンちゃんの傍に行くと、明日と明後日、真和を預かってくれないかと頼んでいた。
「んっ?そりゃあいいけど、どこか行くのかい?」
何も知らない私もソンちゃんの問いの答えを待つしかなかった。
「お客さんからホテルの宿泊券貰ったんだ。それが今週末までなんだ。急で悪いけどいいかな?」
暇になったと言っても週末になればそれなりに人は来てくれる。
だから行くなら明日と明後日の平日しかないということだった。