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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い

「もうよせ。言い訳も嘘もたくさんだ。俺と真緒がうまくいくことを望んでるなら何で俺たちの前に現れた?なんで今さら姿を現すんだ」

それは夏樹の悲痛な叫び。
やっとふたりして前に進もうと決めたのに、またしてもうまくいかない。

「真緒……あいつは和泉だ。お前がずっと待ってた和泉だ」

「だから、それは違うと何度言えば分かるんですか」

和泉が否定の言葉を口にしても夏樹が取り合うことはなく、私に向きなおって言葉にする。

「そして、真和の血のつながった父親だ……どんなにパパと慕ってくれても血を分けた親子には勝てるわけがない……」

「夏樹?そんな事、言わないで」

私は、佐伯さんが和泉だったという真実より、真和の本当の父親が和泉だからと私を手放すんじゃないかと思う方が怖かった。

「あいつが金平さんを兄と呼んだ後、調べたんだ。後継ぎがいない佐伯家に養子に名前を変えて入ったのは直ぐに分かった。そして金平家を調べれば和泉と言う弟がいたことも簡単に分かる……本当は知らない顔をしてお前と結婚するつもりだった」


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