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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い

「すればいいじゃない。私は夏樹と結婚するって言ったよ。和泉が現れても心は変わらないって何度も言ったよ」
夏樹のシャツを握りしめて訴える。
和泉が目の前に現れてもそれは変わることはないと。
だけど、夏樹は静かに首を横に振った。
「それでも、和泉の本気を知れば黙っているわけにはいかなかった。俺が真緒を大事に思うと同じぐらいに、和泉も大事に思っていることが分かれば、知らない顔をして真緒と一緒にはなれないと思った……どんなに憎かった男でも――俺の親友なんだ」
「夏樹……」
親友と呼ばれて和泉が声を上げた。
「和泉、全て話せ。あの時、何があったのか。そして、なぜ今頃あの島に現れたのか――そして、真緒」
夏樹は私の肩に手を置いて、少し腰を折り私と同じ目線になった。
「和泉の話を全て聞いてやってくれ。その上で誰と一緒に歩くのか決めてくれ」
その瞳は優しく……どこまでも優しかった――

