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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い

「ねぇ、和泉?どうしてあの島に来たの?それも和泉だと名乗らずに」
やはり、そこが気になっていた。
私に会うためだったら和泉だと名乗るはずだし、和泉だと名乗らなかった理由が分からない。
和泉の心の内が分からない今、聞いて知りたいと思う。
「守り……たかったんだ」
和泉はぼそりとつぶやいた。
「守りたかった?」
「うん。どうしても守りたかった。僕が生きてきた時間の中で一番幸せな場所だから失いたくなかったんだ」
アルバムの一番最初をめくり、砂浜で写った3人の写真を広げた。
あどけなさが残る幼い私たち。
この先にある幸せと不幸を予想にもしていない光輝く笑顔を残していた。
あれから5年。
それぞれが成長し、今だから冷静に話ができるんだと思う。
「教えてくれる?どうして今になって現れたのか」
「そうだね。全てを話すべきだね」
そう言葉にして、和泉の想いと覚悟を話してくれた。

