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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い

「じゃあ、あの時の約束を守るために来たんじゃないんだね」

「……うん。今更、5年も音沙汰なかったのに今更会いには行けないよ。今回の事がなければ島に足を踏み入れることもなかった。かけがえのない場所でも、僕が簡単に足を踏み入れていい場所でもないのは分かっていたからね。――だけど、真緒と再会できてよかったと思ってるよ。さっきも言ったけど、夏樹と幸せそうに笑う真緒を見てほっとしたのも確かなんだ。僕がいない時間を寂しく過ごすことがなくてよかったと、心から思ってる」

その言葉に嘘も偽りもないのが伝わった。
遠い昔の約束は果たされたなかったけど、あのひと夏の思い出を守るためだけに私たちの目の前に現れた和泉の行動に全てのわだかまりは消えた。
だけど、最後に一つだけ聞かなければいけないことがある。
私や夏樹が納得していても、目の前に和泉がいるのに何も聞かないわけにはいかない。


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