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ひと夏の恋……そして……
第23章 友情と愛情と絆
和泉の言い分は間違ってはいない。
私と和泉が一緒にいるところを見れば嫌でも5年前の事を思い出してしまう。
気持ちが夏樹にあると分かっていても、良からぬことを想像してしまうかもしれない。
そうしたら傷つくのは夏樹。
今まで散々傷つけてきたから、これ以上は傷つけたくはない。

「そう……だね。和泉の言うとりだね。これ以上夏樹の事は傷つけたくない」

「うん。僕もそう思うよ。それに、元々は再会するつもりもなかったんだから同じことだよ」

今日が最後だと思うと寂しさが込み上げてくるけど、夏樹の手を取ると決めた以上、夏樹の事を一番に考えたい。

「最後に会えたよかった……佐伯さんとしてじゃなくて和泉として話せてよかった。――そして色々とありがとう」

「それは僕のセリフだよ。これで前に向かって歩けるよ。ありがとう」

お互いに握手を交わし、その後は何も言わずに病室を出て天井を見上げた。
そうでもしないと涙が零れそうで、一度深呼吸をして心を落ち着かせて歩き出した。


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