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ひと夏の恋……そして……
第23章 友情と愛情と絆

「私が夏樹より和泉を取るとか考えなかったの?もしそうなっても夏樹はよかったの?」
もしもなんてあり得ないけど、私を手放そうとする夏樹の気持ちが寂しく感じた。
「良くはないさ。ないけど……和泉が島に現れた経緯を聞いたら黙ってられなかった。5年前もそうだけど、今も島を守ろうとしてくれた。それは島が好きだからじゃない。真緒がいるからだって思うと……黙ってはいられなかったんだ。正直迷った。何も知らないふりして真緒と結婚しようとも思った。けどできなかった。あいつの愛情の深さを知れば知らない顔をなんてできなかったんだ」
苦しそうに心の内を話してくれる。
この数か月、ずっと考えてくれていたんだろう。
私の事、和泉の事、自分の事。
それで出した答えが私に全てを託すことだった。
佐伯さんの正体をばらし、全てを知った上でどちらを選ぶのか。
「佐伯さが和泉だと言っても真緒は信じないと思ったから連れてきたんだ。ずっと黙っててごめんな。騙すような真似して連れてきてごめん」
今にも泣きだしてしまいそうな弱い声で謝ってくれる。
だけど、夏樹が謝るような事は何一つしていない。
私がちゃんと夏樹に伝えていればよかったと後悔した。

