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ひと夏の恋……そして……
第23章 友情と愛情と絆

「佐伯さんが和泉だって、私、知ってたよ」
「えっ?」
私の言葉に、素っ頓狂な声を上げて驚いていた。
和泉と同じ反応で笑ってはいけないのに笑いそうになった。
「和泉も驚いてた。でも知ってたよ。知ってたけど、和泉と戻に戻ろうとも思わなかったし、夏樹への気持ちは変わらなかったから言わなかったの。ごめんね。言っていれば夏樹が気に病む事なんてなかったよね」
「そうか……知ってたんだ、そうか……」
何度もそうかと口にしながら脱力したようにベンチに座り込んだ。
座り込んだ夏樹に、どうして和泉だと分かったのかを教えた。
「だからね。私の気持ちは変わらないよ。彼が和泉でも私の気持ちは変わらない」
もう一度、自分の気持ちを告げ、夏樹の手を取って握りしめた。
「ああ、もう離しはしないさ」
力強く握りしめた手に私も力を込めた。

